メールマガジン
『 めざせ!実現  あげよう!成果 』


第27号 2005年8月22日
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

   メールマガジン 『めざせ実現! あげよう成果!』
 
                                            2005年8月22日 (第27号) 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■□□
□■■   考える訓練
■□□
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆加藤与五郎先生創造の秘密

「機械技術」誌に掲載された川崎利男さん(日本VMセンター 会長)の文章の
一部を転載します。
  (日本VMセンターのホームページ 
            →→ http://www3.alpha-net.ne.jp/users/j4704vmc/  )

(昭和34年当時、加藤与五郎先生は86歳、TDKの川崎研究員は31歳でした。TDK
市川工場を見学して帰宅される加藤先生をお送りする電車の中での会話です。)

かねてから加藤先生の発明はどんな状況でなされるのか開きたいことの1つでし
たから、

「先生どうやったら先生のような発明ができますか。やはり天才でないとダメ
でしょうか。」
「そんなことはありません。誰でもできるようになります。それは考える訓練を
して、1つの事を継続して反復して考えられるようになることです。」

「私なんかは5分か、せいぜい10分くらいですが……。」
「それでは不足です。1つの問題に集中して、まず30分継続して考えられないと。」
「やったことがありますが頭かポッポと熱くなって疲れてしまい、とてもダメで
すが……。」
「それは慣れていないからです。考える訓練をやったことがありますか?」
「考える訓練?」

研究職の私は仕事で考えることは随分機会がありますが、今まで『考える訓練』
などは考えてもみませんでした。

「学校では体育の時間はありますが脳育の時間がありませんね。これをやるべき
です。」
「一体、どんな風にやりますか。私がやる場合はどうしたらいいでしょうか?」
「教え方はいろいろありますが、あなたがやる場合は研究テーマについて10分間
考えていたのを11分間考えるようにする。そして12分間にする。

野球選手を見なさい。最初は思うところに球を投げられなかったのですが、千回、
二千回と投げるうちにサインどおりの球を投げられるようになります。バッター
も同じですね。何千回と振っているうちにホームランが打てるようになる。人間
の肉体はそういうふうにできていますね。」
「言われてみるとそうですね。訓練・練習の繰り返しですね。」

「犬をご覧なさい。」先生は突然犬の話に移られた。
「ビスケットを子犬に投げてやると最初は上手に受け止められず落としますが、
やがて上手になって百発百中、空中で受け止められるでしょう。」

「なるほどわかりました。ところで、先生が問題を考えられる場所ですが、研究
室ですか、それともご自宅ですか?」
「いや、散歩しながら考えます。なるべく自転車や自動車の来ない安全な路地を
選んで歩きながら考えます。」

鎌倉の数多くある曲がりくねった路地を思い出しながら

「先生、その時どのくらい歩かれますか、散歩は朝が多いですか?」
「約1時間前後ですか、朝もしますが夕方が多いですね。これにはコツがあります。
途中でなるべく知人に会わないように道を選びます。」

「挨拶で、時にはそれに続く会話で考えが中断されるからですか。」
「そのとおり、今日はどの方角の道を歩くと人に会わないか勘を働かせます。」
「散歩の時、犬を連れて歩かれますか。」
「いや、犬はダメです。突然何かを見つけて好きな方向に歩こうとし、綱を引っ
張るからです。」

やはり歩きながら考えられるのか。当時パラメトロンを発明された東大の後藤英一
教授は、何か考え出すと東大の廊下を下駄で音を立てながら歩き回られたという
逸話を思い出しながら、

「考えても考えても答えがなかなか出ない時はどうしますか?」
「その時は別のテーマに切り替えて考えます。何時も15個前後のテーマを持って
いますから……。」

「いいアイデアが浮かぶ瞬間はどんなふうですか。よく電車の中とか中間子理論
の湯川博士のように布団の中とか……。」
「私の場合も布団ですね。就寝前によく考えて『どうか明日の朝には閃きますよ
うにと神様にお願いして眠りにつきます。翌朝、頭が完全に覚めきれない時、突
然、解決策が閃きます。」

1つのテーマについて集中し、考えて考えて考え抜くこと、頭脳に何かの圧力を貯
めた状態にすると、圧力が抜ける瞬間にアイデアが浮かぶ。そのためには集中して
1時間ないし1時間半考えられる脳力(体力)を持つ訓練が必要。
(先生は『創造は最後は直感の形で得られる』と後日述べられている。)

『考える訓練』の重要性を何度も繰り返され、特に小中学校教育での採用を力説
なされていた。これが『加藤先生の創造の秘密』と理解した。

心配した先生との会話は、むしろもう少し時間が欲しいくらいだった。第二の難
所、秋葉原の階段を無事降りて山手線に乗り、東京駅の湘南方面の電車に乗られ
座席に着かれた。
「川崎君、ありがとう」と先生は握手して下さった。あの童顔の笑顔は今でも脳
裏に焼き付いています。            


 ◇出典:川崎利男『機械技術』Vol.52,No.10(2004)63-67頁
      「ものづくり日本に必要な脳力教育 (1)加藤与五郎先生との出会い」


■■役に立つ言葉■■


◇ 創造は人間の最大の仕事の一つである。智能の極致である。掛声や空念仏で
   できる生やさしいものではない。どこまでも真剣味を要する。    
   我々人間の責任。それは創造的人間になることである。
                                             加藤与五郎
                              

===【編集後記】======================================================


◆ 川崎利男様のご好意により、「加藤与五郎先生との出会い」を転載させて
   いただきました。
   『考える訓練』の重要性や加藤先生のお人柄がよく出ています。

=====================================================================


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 〔ご意見・ご感想・お問い合わせ〕本メールマガジンに関するご意見・
     ご感想・お問い合わせはこちらまでお願いします。
         mlmg@hama-tc.net

 〔発行者〕浜田テクノコンサルティング 代表 浜田尚夫
 〔ホームページ〕http://www.hama-tc.net/

 --------------------------------------------------------------------
 このメールマガジンは、『まぐまぐ』http://www.mag2.com/ を利用して
  発行しています。
  登録・解除は http://www.mag2.com/m/0000149311.htm からできます。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━